知っておきたいキッチンメーカーの事情
これから、キッチンを選ぶユーザーは、住宅業界や、キッチンメーカーが現在、どんな状況に置かれているか、と言うことを知っておいたほうがいいでしょう。セパレートキッチン ⇒ システムキッチンへ売れ筋が変化した。
キッチンメーカーが、システムキッチンを量産しだしたのは、1985年ころからです。
それまでは、セパレートのキッチンが一般的で、流し台、ガス台と、組み合わせてレイアウトしていました。
そして、システムキッチンが売れ出したために、キッチンメーカーでは、システムキッチン化のために工場に設備投資を行なったのです。
システムキッチンは、セパレートのキッチンとは構造が違うので、新しい生産設備が必要だったんです。新しい工場を作ったところもありました。
当然、お金がかかりますね。
ここで、重要なのが、住宅着工数です。
当時は、120万戸以上の新築住宅が、当たり前のように毎年毎年、建設されていました。
当時の住宅関係者や、住宅設備機器のメーカーは、住宅着工数が今のように、100万戸を大きく下回るなど、思ってもいなかったのです。
激変した新築住宅着工数
キッチンメーカーはあわててしまいました。
当然です。
急に、市場が小さくなってしまったのです。
売れる量がすごく少なくなってしまいました。
毎年、120万戸以上の住宅が建設されると思って、計画を立てていたのですからキッチンメーカーとしては笑えません。
へたをしたら、経営が大変な事になるわけです。
なりふりは、かまっていられない事態となってしまったんですね。
そこで、キッチンメーカーはどんなことを考えたかと言うと・・
今までの数量が売れないのならば、単価を上げよう。
単価を上げるためには、付加価値を上げよう。
なんでもいいから、ユーザーがなっとくしそうな付加価値を探せ!
そんなことになって、付加価値さがし合戦がはじまったのです。
システムキッチンの形態が変わり始めたのはこの頃です。
付加価値の追加とともに、定価もどんどん高くなりました。
しかし、この付加価値は単価アップが目的で、ユーザー目線に立っていない場合が多いのです。
本当に機能する付加価値を開発するためには、十分なリサーチ、機能の検証、材料の吟味、新規機能のサポート体制の充実や、施工技術の確立など、準備しておかなければならないことがたくさんあります。
そんなことは、お構いなしで、低コストの材料で、形だけの機能追加を行なったような、ユーザーにとっては大変迷惑な製品が出だしたのです。